9月30日のドバイ発イスラエル・テルアビブ行きの「フライ・ドバイFZ1073便」で、副操縦士が機長を襲撃したとされるハイジャック事件が発生。この事件により約2分間で機体が約17000フィート(約5180メートル) も急降下したにもかかわらず、天井から酸素マスクが出ていない点が注目され、一部から「このハイジャックは偽旗作戦ではないか?」という声が上がっています。本記事では、なぜ「フライ・ドバイFZ1073便」で天井から酸素マスクが出なかったのか? その理由について解説します。

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【機長が襲撃されたフライ・ドバイ機】なぜ客席に酸素マスクが出なかった?理由を解説
旅客機に搭乗中、緊急事態になると機内の天井から酸素マスクが出てくることは、多くの方が認識されていると思います。今回のフライ・ドバイのハイジャック事件では、2分間に約17000フィート(約5180メートル) も機体が急降下したと報じられていることから、当然「酸素マスク」が展開しただろうと考えた方も多かったはずです。しかし、「フライ・ドバイFZ1073便」に乗り合わせた乗客が撮影した動画を見ると、客席の天井から酸素マスクは出ておらず、機内も整然としていて、乗客もコックピットの様子を窺うように歩いているのが確認できます。
事件が起きた「フライ・ドバイFZ1073便」の機内の様子
#WATCH: Israeli passengers rush the cockpit to rescue their Flydubai flight after the copilot attempted to hijack it. pic.twitter.com/rs9L3EzL2B
— Israel National News – Arutz Sheva (@ArutzSheva_En) September 30, 2026
この動画を見た方たちの一部では、今回のフライ・ドバイのハイジャック事件は「偽旗作戦」ではないか? という声も上がっています。
なぜ、「フライ・ドバイFZ1073便」では
酸素マスクが出なかったのか?
結論から言うと、
「フライ・ドバイFZ1073便」で酸素マスクが出なかったのは
客室内の気圧が正常に保てていたため
と考えられます。
旅客機で酸素マスクが展開するケースは、飛行機の急降下が原因となって出るものではなく、客室内の気圧が低下した際(客室内の空気が薄くなった時) に出る事になっています。
今回事件が起きたボーイング737MAX8型機では客室内の気圧が標高14000フィート(約4267メートル) 相当まで下がると自動的に酸素マスクが出てきます。14000フィート(約4267メートル) と言えば、富士山の頂上よりもさらに高い標高です。この様な高所は空気が薄く、頭痛やめまい、さらには意識障害に陥る危険があるため、酸素マスクが必要となるわけです。
一般的に客室内の気圧が下がる原因となるのは、与圧システムが故障した場合か、機体が損傷し穴が開いた時などです。
今回の事件では、副操縦士が機長を襲うという事態に見舞われたとされていますが、与圧システムは着陸まで正常に動いていたとみられ、客室内の気圧は問題のない範囲に保てていたため、酸素マスクが出なかったものと思われます。
つまり
「急降下 = 酸素マスク展開」
という一般人の認識は間違っている
という事です。
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急降下する機内で乗客が普通に歩けている理由
また、「フライ・ドバイFZ1073便」の機内でまさに事件が起き、機体が急降下している最中に、乗客が機内を普通に歩いている事に違和感を覚えた方もいると思います。
しかし、人が感じるのは旅客機のスピードではなく、加速度(G)の変化です。例えば、エレベーターの場合、動き出す瞬間と停まる瞬間だけ、「床が抜けるような感覚」と「床が持ち上がる感覚」がありますよね。しかしエレベーターが動いている間、中にいる人は何も感じていません。
旅客機も同じ原理です。副操縦士が機体を急降下させたとしても、それが操縦桿の操作による急降下であれば「一定の速さでの降下」と言えます。機首を下げ始めた数秒間、機体は下向きに加速するため、乗客は一瞬、ふわっと浮くようなGの低下を感じたはずです。
しかし、安定的に急降下している間は、平常時と同じ約1Gが床方向に働き続けます。テーブルの上に置いた飲み物も静止したままでしょう。そして、乗客や乗務員が副操縦士を制圧に成功し、機体を立て直そうと操縦桿を引いた際の数秒間は、強いプラスのGがかかり身体が座席に押し付けられる感覚があったはずです。
つまり、副操縦士が引き起こした急降下は、その始まりと終わりに数秒ずつ加速度(G)を感じる程度で、急降下中は「やや前方に傾いた客室」だっただけで、機内を歩くことは普通にできたと考えられます。ただし、フライトレコーダーの記録では降下の途中で急上昇や再度の降下も確認されており、その間は大きな加速度(G)がかかった可能性があります。
「フライ・ドバイFZ1073便」のフライトレコーダーの記録
これが仮に、乱気流やエアポケットによる落下だった場合は、機体がコントロールできる限度を超えた力で下方に引きずり込まれるため、客室内の人間の位置はそのままで、機内の天井が落ちてくる(人間の側から見ると天井に叩きつけられる) 事もあります。
まとめ
9月30日に起きたフライ・ドバイのハイジャック事件で、機体が2分間に約17000フィート(約5180メートル) も急降下したにもかかわらず、酸素マスクが出なかった理由を解説しました。
今回の事件を「偽旗作戦ではないか?」と疑う声も上がっていますが、その疑惑のきっかけとなった上記2点については科学的に説明が付きます。
10月3日配信の「abcNEWS」によると、事件を起こしたとされる副操縦士は、かつてオマーン航空の副操縦士の訓練生で、2024年に過激な資料を所持していた事から安全上のリスクと判断され、操縦業務から外されていたと報じられています。どのような経緯でフライ・ドバイのパイロットとなったのかについて現在捜査が進められています。重傷を負ったスミット・マッチャール機長が一日も早く回復されることをお祈りします。
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