12月15日に東京・赤坂の個室サウナで起きた火事で、サウナ室内に設置されていた非常用ボタンの電源が切られていた事が問題視されています。この非常用ボタンが本来どの法律に基づいて設置されていたのかを巡り、施設の「業態」が注目されています。報道で、火事を起こした赤坂の個室サウナが「旅館」として申請されていたという点に驚いた方も多いはず。なぜ、宿泊施設ではない個室サウナが「旅館」に分類されるのか? 本記事では、旅館業法の考え方を踏まえながら、その理由について分かりやすく解説します。

UnsplashのAuroom Wellnessとkues1が撮影した写真(加工して掲載)
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【赤坂サウナ火事】なぜ個室サウナが「旅館」扱い?旅館業法適用の理由
12月15日に東京・赤坂の高級個室サウナで発生した火事において、サウナ室に設置されていた非常用ボタンの電源が切られていた事に対し、違法性がなかったのかが議論される中で、火事を起こした赤坂の個室サウナが、「旅館」として申請された施設であることが報じられ、驚かれた方も多いと思います。

サウナがなんで
旅館なの??
一般人の感覚からすると、「旅館業」とは、人が宿泊できる施設を指すと考えている方が多いはずです。
今回火事を出した個室サウナは
宿泊することはできません。
それにもかかわらず
なぜ個室サウナは
「旅館」として申請されていたのか?
結論から言うと
個室サウナは
旅館業法上の構造設備の考え方と、
料金の性質を踏まえた判断から、
法的には「旅館・ホテル営業」に
分類されるケースがあります。
※旅館・ホテルの営業許可は保健所に申請します。
報道によると、今回火事が起きた東京港区の個室サウナは、
保健所に対して「旅館」として申請していたとされています。
詳しく説明します。
「厚生労働省」のホームページによると、
旅館業とは
「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」
と定義されています。
今回火事を出した個室サウナは「宿泊」するわけではないから、「旅館には当たらない!」と考える方も多いのも頷けます。しかし、上記に掲げた「宿泊料」と見なされるお金の範囲がとても広いんですよ。
宿泊料としてみなされるもの
- 宿泊代
- 休憩料
- 寝具の賃貸料
- 寝具等のクリーニング代
- 光熱水道費
- 室内清掃費
宿泊を伴わない休憩料や、タオル、マットのクリーニング代、サウナの光熱水道費、客室の清掃費も、実質的に客室を利用する対価と判断されれば、「宿泊料」と解釈される場合があります。且つ、以下の構造設備の基準を満たせば、個室サウナは法的には旅館業に分類されるケースがあるという事です。
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旅館業法における営業形態と構造設備の基準
| 旅館業 | 定義 | 構造設備の基準 |
| 旅館・ホテル営業 | 施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業。簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの。 ※客室を1組ごとに専用で利用する。ビジネスホテル、指定ホテル、温泉旅館など ※今回火事を出した赤坂の高級個室サウナもここに含まれると考えられます。 | ・1客室7㎡(約4.2畳) 以上必要、ベッドを置く場合は9㎡(約5.5畳) 以上必要 ・フロント必須 ・適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備の設置 ・近接して入浴施設がある場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備を設置 ・宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を設置 ・適当な数のトイレを設置 その他 |
| 簡易宿所営業 | 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの。 ※寝室やその他の部屋を宿泊者が共用して利用する。ゲストハウス、民宿、ユースホステル、山小屋など | ・全客室の面積の合計が33㎡(20畳) 以上必要 ・宿泊者数を10人未満とする際は、3.3㎡に宿泊者の数を乗じて得た面積以上必要 ・フロントなし ・二段ベッドを置く際は、上段と下段の感覚は概ね1m以上必要 ・適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備の設置 ・近接して入浴施設がある場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備を設置 ・宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を設置 ・適当な数のトイレを設置 その他 |
| 下宿営業 | 施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。 | ・適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備の設置 ・近接して入浴施設がある場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備を設置 ・宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を設置 ・適当な数のトイレを設置 その他 |
「旅館業法」によると旅館業は、「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つに分類されます。今回、火事を出した赤坂の高級個室サウナは、個別に占有できる客室構造を持ち、フロント機能を備えた運営形態であったことなどから、「旅館・ホテル営業」に分類されたものと考えられます。
簡単に言えば、施設利用者が占有できる客室があり、そこで休憩が可能で、換気、採光、照明、防湿及び排水の設備があり風呂、トイレ、洗面台を備えた施設であれば、ベッドや布団で寝て1泊しなくても、料金体系や施設の使われ方によっては、法的には旅館・ホテル営業と見なされることがある、というわけです。
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まとめ
12月15日に火事を出した東京・赤坂の高級個室サウナが、保健所に対し「旅館」として施設を申請していたと報じられたことを受けて、宿泊しない施設なのに、なぜ「旅館」なのか? という点について分かりやすく解説しました。
今回解説した内容が、報道で分かりやすく解説されていないために、火事を出した個室サウナ店が正しく申請していなかったのではないか? とか、旅館申請を許可した東京都港区の保健所にも不備があったのではないか?という声も上がっていました。しかし、調査したところ、現在の法律の立て付けでは、完全プライベートを掲げる個室サウナ店は、営業実態によっては旅館業に分類されることがわかりました。
今回の赤坂のサウナの火事について、少しずつ状況が解明されつつあります。なぜこんな悲惨な事態になったのか、原因の究明をしっかりしていただきたいと思います。亡くなられたご夫婦のご冥福をお祈りいたします。
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