【赤坂サウナ火事】なぜ木製ドアノブは外れたのか?

2025年12月15日に東京・赤坂の高級個室サウナ店で火事が発生し、サウナを利用していたご夫婦がサウナ室で亡くなりました。この火事で注目を集めているのは、サウナ室のドアに設置されていた木製ドアノブです。報道によると、この木製ドアノブは内側・外側ともに外れ、床に落ちていたとされています。亡くなられたご夫婦は、木製ドアノブが外れたことでサウナ室のドアを内側から開けられず、結果としてサウナ室内に閉じ込められてしまった可能性があるといいます。なぜ、サウナ室の木製ドアノブが外れたのか? 報道内容や木製ドアノブの仕様、サウナという環境の特性を調べていくと、その原因として考えられるポイントが見えてきました。

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【赤坂のサウナで火事】なぜサウナ室内の木製ドアノブは外れたのか?

12月15日に赤坂の高級個室サウナ店で起きた火事で、注目を集めているのは、サウナ室の木製ドアノブが内側・外側、共に外れ、床に落ちた状態になっていた点です。報道によると、火事の現場となったサウナ室内で、被害に遭われたご夫婦は、ドアが開けられない状態となり、サウナ室内に閉じ込められてしまった可能性があるとされています。

木製ドアノブが悲劇の原因か?

一般的なサウナ施設では、サウナ室のドアは内側からは押すだけで、ドアが開くタイプのものが多く用いられており、今回のようにレバー式のドアノブが使われることは比較的珍しいとされています。

このニュースが報じられると、SNSなどで、「サウナに木製ドアノブはダメでしょ」といったコメントが多く見られました。確かにサウナ室の内側にレバー式ドアノブを設置すること自体は、安全面から見て問題があるという指摘も理解できます。しかし、「木製であることがダメ」という意見には、個人的には違和感を覚えます。なぜなら、サウナ室の内装は、床もベンチも壁も天井も板張り仕上げされているからです。

ではなぜ今回、サウナ室の木製ドアノブが外れたのか?

上記の木製ドアノブはどこのメーカーが作っているのか調査したところ、東京の2つのメーカー、K社とT社が外観上はほとんど同じ仕様の製品を製作していることが分かりました。(※この記事で何かしらの悪影響が出ても困るので、メーカー名は伏せています)

2社が作る木製ドアノブの違いは、外観からはほとんど見分けがつきません。ドアの内部に埋め込まれる「ケース錠」と呼ばれる機構の形状にわずかな違いがあります。また、K社は複数の材質(タモ・チェリー・ウォールナット) から選べるのに対し、T社はタモ材のみの展開となっている点も違いといえます。タモ材の木製ドアノブであれば、どちらのメーカーも1セット2万7500円で販売されています。

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「木製ドアノブは強度的に問題があるでしょ」という指摘もSNS等で見られますが、この2社が作る木製ドアノブは、レバー部分を半分に割って、内部に鉄製の軸を埋め込む構造になっているため、強度自体は十分に確保されています。

2社の公式ホームページを細かく見ますと、K社のホームページには、木製ドアノブ使用について以下の注意書きがありました。

屋外など水がかかる場所や、
湿気の多い場所では使用しないでください。

木製ドアノブは2社ともに仕上げは「蜜蝋ワックス仕上げ」です。蜜蝋の融点は62～65度で、火事のあった赤坂のサウナはフィンランド式のロウリュサウナであることから、サウナ室の温度は80度前後になると考えられます。そのため「蜜蝋ワックス仕上げ」では高温環境で不具合が生じる可能性があり、サウナ室内部のドアノブとしては適した仕上げとは言い難い面があります。このことからも、この木製ドアノブはサウナ室内部で使用されることが想定されていない製品であることがわかります。

一般的に用いられる木製のサウナ用ドアノブには、セラミッククリア塗装が施され、耐熱・耐湿コーティングがなされます。(※丸喜金属本社「MKサウナハンドル」参照)

しかし、
木製ドアノブの仕上げが
サウナには適さない「蜜蝋ワックス仕上げ」
だったとしても、
ドアノブレバーが外れてしまう
直接的な原因にはならない
と考えます。

ドアノブレバーが外れて落ちるという事は、内側と外側のドアノブレバーをドア内部でつないでいる金属製の「角芯」と呼ばれる部材がドアノブレバーに六角ボルトでしっかり固定されておらず、抜け落ちてしまったことを意味します。

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なぜ角芯が
ドアノブレバーに固定されていなかったのか?
その原因は、
ドアの厚みに問題があったのではないか?
と推測します。

今回、火事が起きた赤坂のサウナのサウナ室の木製ドアノブが、上記にあげたK社、T社のいずれかの製品であった場合、対応できる扉の厚みは28～40ミリとなっています。一般的な浴室ドアの厚みは「LIXIL」などの大手メーカーの製品を調べると扉の厚さは30ミリ程度になることがわかります。

確かに、サウナ室のドアの厚みが30ミリなら木製ドアノブが外れることはなかったと思われます。

しかし、
実際の赤坂の火事のあったサウナの
サウナ室のドアの厚みは40ミリ以上あった可能性
があるんですよ。

その根拠となるのが、以下の画像になります。この画像は、火事のあった赤坂のサウナを利用したお客さんがインスタグラムにアップした動画から切り取ったものです。

問題のサウナ室のドアは
アルミ製の一般的なドアの内側に、
木材が貼り付けられています。

このことで、サウナ室のドアの扉厚は格段に増してしまいます。仮にアルミ製のドアが一般的な扉厚の30ミリだったとすると、K社、T社の木製ドアノブであった場合、対応できるのは40ミリまでとなりますが、画像を見る限り、木材は10ミリ以上の厚さに見えます。目測では木材の厚みは15ミリ程度ありそうに見えます。

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そうなると、
単純に扉厚は45ミリとなって、
角芯の長さが十分とは言えず、
六角ボルトが
角芯にしっかり食い込むことができない可能性
が高くなるんですよ。

実際問題として、現場で木製ドアノブが床に落ちていたのであれば、ドアの扉厚が木製ドアノブの「取り付け想定範囲」を超えていた可能性を疑うのが自然です。

まとめ

12月15日に東京赤坂の高級個室サウナで起きた火事で、サウナ室の木製ドアノブが外れていたことを受けて、本記事では、なぜ木製ドアノブが外れてしまったのかについて、構造や仕様の観点から検証しました。

木製ドアノブが外れた理由については、今後の現場検証で明らかになるでしょう。火事で亡くなったご夫婦のご冥福を心よりお祈りいたします。

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