【シナントロープ】最終回ラスト「となりのとなり」の意味は?

※本記事はドラマ「シナントロープ」最終回のネタバレを含みます。ご注意ください。

視聴率は低迷しながらも、作品としての評価が高かったテレビ東京のドラマ「シナントロープ」が12月22日に最終回を迎えました。謎が謎を呼んだドラマ「シナントロープ」のラストシーンは、主人公の都成(演 水上恒司) が窓の外を眺めながら「となりのとなり」と呟き、エンディングとなりました。放送終了後、この「となりのとなり」の意味を検索する視聴者が急増しています。本記事では主人公・都成が呟いた「となりのとなり」という言葉の真意と、都成も気付いていない一連の騒動の背景について考察しました。

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【シナントロープ】最終回ラスト「となりのとなり」の意味は?

12月22日に最終回を迎えたドラマ「シナントロープ」は、16年前に折田(演 染谷将太) によって命を奪われた水町(演 山田杏奈) の父・善治(演 山本浩司) の復讐のため、水町ことみと祖父のインカアジサシ(演 綾田俊樹) が、バーガーショップ「シナントロープ」を舞台に繰り広げた壮大な復讐劇でした。

そのドラマの締めくくりとなるラストシーンは、主人公の都成が窓の外を眺めつつ、「となりのとなり…」と呟くシーンで幕を閉じます。

最終回終了後、多くの視聴者が、この「となりのとなり」の意味を巡ってネット検索されたようです。

この「となりのとなり」は漢字表記すれば「都成の隣」ということになります。この「となりのとなり(都成の隣)」の意味は、簡単に言ってしまうと、ラストシーンに登場した16年前の新聞記事に隠されています。折りたたまれた新聞記事を拡げると、そのひき逃げ事件の記事の隣に、「5歳の水町が長期間監禁されていた自宅から助け出された記事」があった事から、「都成の記事の隣に、水町の記事」という意味合いで、口をついて出たのが「となりのとなり(都成の隣)」というセリフになったと考えられます。

都成は、5歳の時の自身の新聞記事の隣に、水町の事件の記事があった事にこの時初めて気づいたようです。さらに、このシーンの直前に、都成はハシビロコウ(演 萩原護) から、ある仮説を聞かされていました。それは、「水町の折田に対する復讐は、折田の父・敬三がひき逃げで逮捕されていなったら、水町の父親・善治の計画は成功し、善治が亡くなることも、水町が長期間閉じ込められることもなかったかもしれない」、というものでした。

5歳の時に都成が目撃し通報した犯人は折田の父親・敬三でした。その事実をドラマの最終回のラストシーンで知る都成……想いを寄せて来た水町の人生を狂わせたのは都成自身だったと知り、ショックを受ける中、口をついて出たのがこの「となりのとなり(都成の隣)」という皮肉めいたセリフだったと思われます。

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ただドラマ「シナントロープ」ファンの視聴者は、都成が5歳の時、ひき逃げ事件の目撃者だったことと、同い年の水町が５歳の時に自宅に監禁されていたことは、時期が重なるのでどこかでこの二つが繋がることは随分前から予想されていました。第10話で折田の父親がひき逃げで逮捕されたことが明かされた時点で、５歳の都成のひき逃げ事件と繋がったとみていた視聴者は多かったと思われます。都成自身はその事に最終回のラストシーンで気付くという設定でしたから、この点では多少ストーリー展開が視聴者目線とズレていたと言えます。

しかし最終回で、
ハシビロコウが
この16年前のひき逃げ事件に
関わっていた事については
描かれませんでした。

※以下は筆者の推測となります。

「となりのとなり(都成の隣)」を頻繁に口にしていたのはハシビロコウ

これまで、ハシビロコウ(演 萩原護) は劇中で何度も「都成さんの隣には、水町さんが似合う」と言っていました。なぜ、ハシビロコウがそう言い続け、都成(演 水上恒司) の恋愛に積極的に協力していたのか?、その理由については、「シナントロープに強盗が入った時に、レジのお金を盗んだのはハシビロコウではない」と都成が庇ってくれたからと説明していました。

それだけでも、ハシビロコウの都成に対する献身的な行動は説明できますが、ドラマの最終回の構成で、「16年前の都成の記事の隣に水町(演 山田杏奈)の記事があった」というオチを踏まえると、ハシビロコウはもっと別の理由から、都成の力になりたいと考えていた可能性が捨てきれません。

ハシビロコウの言う、
「都成さんの隣には、水町さんが似合う」
という言葉は、
都成がラストシーンで見ていた
新聞記事の事を指しているのではないか?
と推測します。

ハシビロコウもこの新聞記事を知っていたのかもしれません。しかし、ハシビロコウは劇中では20歳という設定です。(※第1話参照) 16年前は4歳です。一見するとハシビロコウがこの新聞記事を当時見て、さらに記憶し続けて来たとは考えにくいです。

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しかし、最終回で都成が拡げたひき逃げ事件の新聞記事を細かく読んでみると、以下の記載があります。

事件の顛末
先月初旬、都内住宅街の交差点で男性が車にはねられるというひき逃げ事件が発生した。男性は車にはねられ路肩の茂みに突っ込んだ。救急搬送されたものの搬送先の病院で間もなく死亡が確認された。
被害者は子供(４)と散歩中の出来事だった。幸い一緒にいた子供は無事であった。

引用：テレビ東京ドラマプレミア23「シナントロープ」最終回より

「被害者は子供(４)と散歩中の出来事だった」
この子供、
ハシビロコウの事では
ないでしょうか?

ハシビロコウの当時の年齢と一致していますよね。もしこの4歳の子供がハシビロコウであれば、上記の新聞記事は、家族によって大切に保管されていたでしょうし、これまでのハシビロコウの人生で何度も何度も読み返された記事だったと考えられます。

ひき逃げ事件の記事には「都成剣之介くん(５)」としっかり記載されています。ハシビロコウにとって、都成は「父親の命を奪った犯人を捕まえてくれた人」、英雄としてその名が心に刻まれているはずです。そして、そのひき逃げ事件の記事の隣には、水町が５歳の時の監禁事件の記事。こちらの記事中にも「水町ことみちゃん(５)」と記載されていることから、ハシビロコウの中では、「都成剣之介」と「水町ことみ」はずっと隣同士でいた人物となり、「都成さんの隣には、水町さんが似合う」という認識になっていたのではないかと推測します。

劇中では、ハシビロコウと16年前のひき逃げ事件との関りについては一切触れられていませんが、ハシビロコウがやけに隣に懐き、そして献身的に隣の恋愛を応援する根拠として、この考察はある程度の説得力を持つと考えます。

水町の折田(演 染谷将太) を巡る復讐劇では、都成は龍二(演 遠藤雄弥) にナイフで刺されケガまで負いました。ハシビロコウは店に来たお客・忍(演 高梨みちる) への恋心を水町に利用され、操られていました。

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最終回で、ハシビロコウは水町のことを「他の鳥の巣を容赦なく奪う『イエスズメ』」に例えています。実際に、水町が折田に「シナントロープ」を襲うように指示した際に用いた連絡用のスマホが折田のものではなく、水町のもので、待ち受け画面には「イエスズメ」の画像が使われていました。この「イエスズメ」の画像は、バーガーショップ「シナントロープ」に強盗に入るように指示したのは、水町だった事を決定づけています。

第9話で水町は「自分はこうありたいと思う鳥がいて、以前はその鳥をスマホの待ち受けにしていた」と話していました。その鳥と言うのが強欲で冷酷な「イエスズメ」だったわけですから、最終回でハシビロコウが水町のことを「あの人は…とんでもないです」と言い放ったことにも納得がいきます。

「となりのとなり」「キノミトキノミ」の語呂が似ている件

都成(演 水上恒司) がラストシーンで呟いた「となりのとなり」と言うセリフは、このドラマの重要なカギとなったバンド「キノミトキノミ」のバンド名と非常に語呂が似ています。バンド「キノミトキノミ」のシイ(演 栗原颯人) とクルミ(演 石崎ひゅーい) は、水町一家に翻弄された人生だったわけですが、都成もまた、水町一家三代に人生を翻弄されました。

都成の就職先は、お堅い銀行務めという事になっていましたが、もしシーズン2が製作されるのであれば、この堅実に見える人生から脱線していく様が描かれるのかもしれません。

まとめ

ドラマ「シナントロープ」最終回のラストシーンで、主人公の都成(演 水上恒司) が「となりのとなり(都成の隣)」と呟いたことを受け、その言葉にはどういう意味合いがあったのか、またドラマでは触れられなかったハシビロコウ(演 萩原護) の過去が、16年前の都成と折田(演 染谷将太) を繋ぐひき逃げ事件に関係している可能性についても考察し、解説しました。

ドラマ「シナントロープ」全12話は非常によくできたミステリー・サスペンス作品でした。水町(演 山田杏奈) の恐ろしい本性が明らかになるストーリーでしたが、最終回で折田が亡くならずに消えた事、キバタン(演 坂東龍汰) が折田の持っていたと思われる幸運の鳥・ルリビタキの羽を手に入れた事などから、第2シーズンに繋がる伏線を残して幕を閉じているので、今後続編が作られるかもしれません。

ドラマ「シナントロープ」は単なるテレビ娯楽作品ではなく、上質なミステリー・サスペンス映画のような作品でした。しかも、映像と音楽がお洒落で格好良かった! 3カ月間非常に楽しめたドラマでした。キャストの皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました!

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