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【VIVANT】タイランは何者?「情報ブローカー」とは?

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TBS日曜劇場「VIVANT」第19話に新キャラ、タイラン・グリエワ(演 Mirze Aghabayli) が登場しました。ゴルバド共和国の北側に接するアゼルバイジャンに広大な屋敷を構え、本人や屋敷の使用人はコーカサス地方の民族衣装「チョハ」を着用し、さながら貴族か王族のようにも見えましたが、劇中では単なる「情報ブローカー」としか説明されておらず、タイランが何者なのか? 困惑している視聴者も多いはず。本記事では、タイランとは何者か? について考察し「情報ブローカー」とは具体的にどんな仕事をするのか? をアゼルバイジャンの現状を踏まえて解説します!

【VIVANT】タイランは何者?「情報ブローカー」とは?
【VIVANT】タイランは何者?「情報ブローカー」とは?
(※画像はイメージ)

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目次

【VIVANT第19話初登場】タイラン・グリエワとは何者?「情報ブローカー」とは何?

最終回まであと6話というタイミングの第19話で、ドラマ「VIVANT」に新たな登場人物、タイラン・グリエワ(演 Mirze Aghabayli) が登場しました。

これまで、ドラマの敵役は、警視庁公安課の数倍の組織力を持ち、「中国の別班」と称される「Xinxi(シンシー)」でしたが、その「Xinxi(シンシー)」がタイランに小間使いされ、テントの情報を集めさせられていた事が第19話で判明しました。

「Xinxi(シンシー)」の責任者、ハン・リンシン(樊林杏/演 宮下今日子) は、未だテントの情報を掴めていない事から、タイランに恫喝までされていました。ドラマ「VIVANT」は、シーズン2の8話分を使って「Xinxi(シンシー)」の巨大さや無敵さを描写してきましたが、このタイランの登場で「Xinxi(シンシー)」のカリスマ性は、微塵に砕け散ったと言っても過言ではありません。

タイランの肩書「情報ブローカー」とは何か?

そんな、ラスボス的な敵役が登場したにもかかわらず、タイラン(演 Mirze Aghabayli) の肩書が「情報ブローカー」でした。「情報ブローカーって何?」「どんな情報を売ったら、あんな資産が築けるの?」と感じた視聴者も多かったはず。

現実の世界で「情報ブローカー」と言えば、個人の住所や電話番号、マイナンバーやクレジットカード情報、購買データ、資産状況、などの個人情報を収集して、企業や反社組織など第三者に販売する業者をイメージする事でしょう。もっと大掛かりになれば、企業の合併や買収に関するインサイダー情報や、ダークウェブから不正入手した情報を売りさばくハッカー集団など、サイバー犯罪をイメージするかもしれません。

情報ブローカーのイメージ
UnsplashのGuerrillaBuzzが撮影した写真のGuerrillaBuzzが撮影したイラスト素材

しかし、アゼルバイジャンに構えるタイランの巨大なモスク風の屋敷や、揃いの伝統衣装を着用した大量の使用人、兎にも角にもあの「Xinxi(シンシー)」を従える圧倒的な力を見れば、タイランの扱う情報が「ちっぽけな情報商材」ではない事は明らかです。

タイランが売買しているのは、
国家の命運を左右する

「政治・軍事・外交に関する最高機密」である

と推測されます。

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別班や「Xinxi(シンシー)」はそれぞれの国の国益のために諜報活動を行っていますが、タイランの組織は、私腹を肥やすためだけに諜報活動を行い、諸外国や裏組織に情報を販売する、言うなれば「国家レベルの情報ヤクザ」といった存在です。

国家の「政治・軍事・外交に関する最高機密」をどのように入手するのか?

これらの情報にアクセスできる人間は、各国の軍や諜報機関(公安や別班、CIA、旧KGB、モサドなど) を退職した元エージェントなどが当てはまります。そうした人間が、諜報員としてのスキルや裏の人脈をそのまま活かして「独立」し、自国の組織に縛られる事無く危険な情報を売買する「情報ブローカー」になり得ます。

タイランの莫大な資産とタイランが着用する伝統衣装「チョハ」の意味

※タイランの屋敷としてロケが行われた
アゼルバイジャンの「ジュマ・モスク」

しかし、第19話に登場した凱旋門付きの巨大なタイラン(演 Mirze Aghabayli) の屋敷を見れば、タイランが単なる「元スパイあがりの情報ブローカー」とはとても思えません。タイラン自身と、屋敷の使用人たちが着用しているコーカサスの伝統衣装「チョハ」からそれが伺い知れます。

コーカサス地方の伝統衣装「チョハ」を着た男性
コーカサス地方の伝統衣装「チョハ」を着た男性
TopNika, CC BY-SA 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0, via Wikimedia Commons

タイランは、
アゼルバイジャンのかつての貴族や
有力者(ハンやベク) の血脈を受け継ぐ人物で
「現代のコーカサス地方の裏社会の帝王」
と呼ばれるような人物ではないか?

と推測します。

タイランの組織が着用する「チョハ」はまさにアゼルバイジャンで代々受け継がれるタイランの血脈のアイデンティティの象徴なのかもしれません。

この伝統衣装「チョハ」は劇中でも明らかなアイコンとなっており、ノゴーン・ベキ率いるテントの衣装は着物にブーツ姿、「Xinxi(シンシー)」のハン・リンシンが着用する中国風ドレス、別班はビジネススーツと着ているものでグループ分けをしています。これは映画「スターウォーズ」を彷彿とさせるものです。(※ベール姿のジェダイ騎士、甲冑マスクの帝国軍など) タイランの組織が着用する「チョハ」は、登場するキャラクターの中でもかなり主張が強く、明らかに手強い組織であることが感じられます。

※しかし、ドラマ「VIVANT」の物語の中でタイランを「極悪人」とする設定であるなら、架空の国「ゴルバド共和国」の人間とした方が外交的な問題を心配する必要がありませんでした。ですが、タイランの屋敷はアゼルバイジャンに設定され、アゼルバイジャンをはじめとするコーカサスの伝統衣装まで着せています。今後、タイランの悪行がエスカレートするとアゼルバイジャンのイメージが悪くなる可能性が少なからずあると言えます。

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現代アゼルバイジャンの「権力構造」から読み解く、タイランの正体

現在のアゼルバイジャンは「共和国」なので、法的な貴族制度は存在していません。しかし、実質的なアゼルバイジャンの社会構造としては、ソ連崩壊後の体制において、特定の一族やクラン(血縁・地縁で繋がったグループ) が「現代の特権階級」として富と権力を握り続けているという現実があります。

アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ(lham Aliyev)大統領と
妻で副大統領のメフリバン・アリエワ(Mehriban Aliyeva)氏

※アゼルバイジャンでは男性は「-yev」、女性は「-yeva」と語尾が変わるため、同じ家系でも表記が異なります。

アゼルバイジャンの政治構造を批判的に報じる独立系メディアの分析によれば、現在のアゼルバイジャン大統領を輩出した「アリエフ家」や、その親族である「パシャエフ・クラン」といった巨大な血縁・地縁グループが、アゼルバイジャンの主要な富(原油や天然ガスなどの一大ビジネス) をガッチリと握っています。つまり、表向きは「アゼルバイジャン共和国」という近代国家の体裁をとっていても、その裏側は「血のつながったファミリー(クラン) 同士の勢力争いや利権配分」によって動いているのがリアルな実態です。(※「Meydan.TV/From Nepotism to Monarchy: Mapping Azerbaijan’s Dynastic Descent」を参照)

劇中で描写されたように、タイラン(演 Mirze Aghabayli) が中国の「Xinxi(シンシー)」をも従える圧倒的な力をコーカサス地方で振るっているならば、

タイランは
アゼルバイジャンにおいて、
こうした「クランや一族の絆」を有する人物で、
地元の「裏の利権」に精通し、
その頂点に君臨している

のではないかと推測されます。

なぜ小国・アゼルバイジャンのタイランに、大国・中国の「Xinxi(シンシー)」が使われているのか?

しかし、幾らタイラン(演 Mirze Aghabayli) に力があると言っても、アゼルバイジャンと中国の国の規模を考えたら、「Xinxi(シンシー)」がタイランに顎で使われている状況が納得いかない視聴者も少なからずいるはずです。

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「Xinxi(シンシー)」がタイランを押さえつけられないのは、以下の理由が考えられます。

ドラマ「VIVANT」に登場するゴルバド共和国(架空の国)やアゼルバイジャンのあるコーカサス地方は、黒海とカスピ海に挟まれた地域で、中国とヨーロッパを繋ぐ中継地点です。中国は、このヨーロッパへ続くルートを「一帯一路の経済の道」としてとらえ、そのルート上に中国の拠点を配備しています。

中国の「一帯一路」構想
※クリックして拡大

中国の「一帯一路」構想
中国の「一帯一路」構想
Lena Appenzeller, Sabine Hecher, Janine Sack, CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0, via Wikimedia Commons

劇中ではゴルバド共和国(カスピ海西側に面した架空の国) に「Xinxi(シンシー)」が本拠地を構えています。そのために中国の資産や中国人スタッフが大量に投入されています。しかし、コーカサス地方の裏社会のフィクサーとも言うべきタイランの了承を得ずに、コーカサス地方に進出すれば、「Xinxi(シンシー)」の組織の施設や社員に危害が及ぶ可能性が出てきます。現実世界でも中国は「一帯一路」で進出した各国に、中国人が管理する民間警備会社を配備していますが、それでも地元のフィクサーを完全に無視するわけにはいきません。そのため、「Xinxi(シンシー)」はタイランに強く出れないものと推測されます。

さらに、現状では世界のエネルギー産業の力関係を大きく変え得る「核融合発電」の発明者、エリシャ・ママドフの身柄を囲っているのはタイランです。タイランの発明を独占的に手に入れた国家が世界の覇権を握るとまで言われています。中国としてはエリシャの発明情報はのどから手が出るほど欲しい情報ですから、タイランの言われるがままの状況に甘んじているものと思われます。

これまでのドラマ「VIVANT」の展開では、「Xinxi(シンシー)」が「核融合持続化技術」を独占入手するのが大前提のように描かれてきましたが、「Xinxi(シンシー)」の背後にタイランという存在があり、本記事でタイランの正体を探って得た情報を踏まえると、タイランがエリシャの情報を「Xinxi(シンシー)」に本当に売り渡すつもりなのか? が疑わしく思えます。

なぜなら、タイランがアゼルバイジャンの特権階級とも言うべきクランの一員であるなら、その利益の源が原油や天然ガスといった化石燃料に依存しているためです。エリシャの発明は、化石燃料を不要にし、石油や天然ガスの産出国には死活問題となるものです。しかし、遅かれ早かれ、「核融合発電」が世界の主流となる未来が到来するなら、タイランにこそ、この発明が未来永劫、利益の源になるものであって、それを「Xinxi(シンシー)」に売り渡すとは思えないんですよ。

まとめ

ドラマ「VIVANT」第19話に登場した新キャラ、タイラン(演 Mirze Aghabayli) がとてつもないレベルの富豪にもかかわらず、「情報ブローカー」という釣り合わない肩書で紹介されたことを受けて、「情報ブローカー」とは何か? そして「タイランとは何者なのか?」について、現状のアゼルバイジャン情勢を踏まえて考察しました。

タイランが登場した事で、乃木憂助(演 堺雅人) と野崎守(演 阿部寛) の敵が「Xinxi(シンシー)」からタイランに完全に移りましたよね。しかし、ハン・リンシン(樊林杏/演 宮下今日子) はテントの指導者がノゴーン・ベキ(演 役所広司) であること、その息子が乃木憂助であることまで掴んでいるのに、その件をタイランに何も報告していないようです。

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さらにシーズン2初回の第11話では、ハンの部下たちが、テントの本拠地にいる黒須駿(演 松坂桃李) を拉致していました。テントの本拠地のゲルの内部に侵入しているにもかかわらず、「Xinxi(シンシー)」がテントについて何の情報も入手出来ていないという状況は明らかに辻褄があっていません。

タイランは、7年前にテントに襲われた際、やって来た侍の正体を知りませんでしたが、刀にテントのマークが入っていたことは認識していました。黒須を拉致したハンの部下の周(演 リンリン) は、テントのマーク(乃木家の家紋) の入った守り刀を現場から持ち去っています。周は諜報活動に携わっていながら、テントのマークを知らないのか? そのあたりの設定がドラマを観ている視聴者に全く理解できません。

タイランの登場で、ドラマの世界観はまた大きく広がりましたが、シーズン2の残り話数はあと5話しかありません。しかも、別班隊員5名の奪還作戦は、まだ突入すらしていません。恐らく、シーズン2はこのまま最終回まで、奪還作戦がずるずると描かれ、最終回で柚木薫(演 二階堂ふみ)とジャミーン(演 本間さえ)がさらわれて終わるのかもしれません。

タイランの本格的な参入は、その後噂されている劇場版の映画に持ち越される可能性が極めて高くなりました。しかも2時間や2時間半の映画では完結するとは思えないので、

劇場版映画は、
前編・後編の2本立てになりそうです。

シーズン2は、物語の完結を期待せず、奪還作戦より先には進まないと覚悟してドラマを観た方がいいかもしれません。今後の展開に注目しましょう!

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